「ねえ、ちょっと来て」
女性達がどんどん酒を飲み干すのに見とれていた僕に、佐伯さんが声を掛けてきました。
「みんなに自己紹介させてたら終わらないから、悪いんだけどお酌しながら挨拶してもらっていい?昨日、みんなには君に名刺渡すように言ってあるから持ってきてると思うの。名刺もらって、名前覚えるようにして。」
まだ2日目ですが、佐伯さんの気配りには本当に感謝です。名刺でももらわないと、とてもじゃないですが全員の名前を覚えられっこないし。
頃合いを見計らって、ビール瓶を持ち、テーブルの端からお酌をして回りました。
この部屋、和風の個室です。掘りごたつではないので、みんな横座りして座っています。6時から飲んでいたらしいので、もう全員酔っています。スーツのスカートの裾がめくれ、チラチラと太股が見えるので目のやり場に困ります。
「あの、はじめまして…」
「わあ、やっと来た!ねえねえ、彼女いるの?」
「え、あ、彼女はいませんが……あのお、お名前覚えたいんで名刺を」
「そうそう、そうよね、さなえに言われてたんだ」
一人目でもうこんな感じです。先が思いやられます。
「はい、名刺。後藤です。バツイチですっ!」
アハハハハ!と周りの女性は爆笑。
(この人、バツイチなのか…)
一人目の後藤さん、髪は長く、あどけない感じ。メイクも薄く、お姉さんといった感じでかなり美形。結婚していたとは思えない雰囲気です。
「ちゃんと言いなさいよー、セフレが2人いて、ホストクラブが大好きですって!」
後藤さんの隣にいる女性が茶々を入れてきました。するとまた爆笑の渦。
「うるさいわねー。ねえねえ僕ちゃん、このお姉さん毎日オナニーばっかりしてるのよ。指の匂い嗅いでみなさい」
後藤さんは自分を冷やかした隣の女性を指差し、とんでもない事を言いました。そしてほらほらっと隣の女性の腕を掴み、その女性の指を僕の鼻先に持ってきました。
「止めてよ!もうっ、信じちゃうじゃないこの子が。」
「いいじゃないのホントの事なんだから。この人ね、旦那じゃ駄目なんだって。おっきいバイブじゃないとアソコにフィットしなくて寂しいんだってー」
また下品な笑いが爆発。いや、こりゃまいるわ。
「はいはい、どうぞ私の名刺です。バイブ大好きな吉見です。吉見有希ですっ!」
後藤さんから「オナニー好き」と言われた人は開き直ったように、名刺を差し出してきました。
「ボールペン貸してあげるから書いておいて。毎日オナニーしてる女って」
いや、ええ、はあ……そんな事を言われても、曖昧な笑顔で答えるしかありません。その吉見さんがいきなり僕の肩を抱いてきました。
「ねぇ、やっぱりさあ、男ってさあ、3年も一緒に住んでると飽きちゃうのかなあ、私の体に。ねぇねえ、興味なくすの?君みたいな若い男の子でもそうなの?」
切なげな表情で僕の肩を抱きながら、下から僕の顔を覗き込むように聞いてきたのです。
「えっ、い、いやぁ、うーん」
「前はね、いーーーっぱいキスして触ってからしてくれたのにね、昨日なんかパジャマのズボンだけ脱がして、入れようとするの、旦那!ひどいでしょ?」
「もう、可哀想でしょ!いきなりそんな事聞いたら!」
今度はまた別の、吉見さんの隣の女性が助け船を出してくれました。
「出たでたぁ~!とうとう出たわねー!」
吉見さんがいきなり奇声を上げました。あまりに突然だったので僕も思わず「うわあっ!」と大声を。
「出たわね~まーたこうやって美味しいとこ取っていこうとしてーーー。ね、気を付けなさいよこの女には!」
「なによー!」
「君、気をつけなさいよ。このオバサンはね、年下キラーなんだからっ!」
かなり酔った口調の吉見さんが、助け船を出してくれた女性に向かって言い放ちました。
「うるさいわねー。」
吉見さんに「オバサン」と言われた女性、まったくオバサンではありません。今日この場にいる女性の中で、一番スーツが似合っていて、気品ある大人の女性って感じです。
「よろしくね、三上です」
名前は三上圭子さん。男なら誰しも「色気」を感じるタイプの女性です。たぶん、30歳半ば位?かな。美形揃いな集団だとは思いますが、美人なオーラはこの人が一番かも。
「ほーら、もうだまされそうになってる!」
隣の五月蠅い吉見さんが僕の顔をまた覗き込みながら突っかかってきます。
「見とれちゃダメ!魂抜かれるから!精液だって取られちゃうよ!」
メチャクチャ下品です、この人。
「この雰囲気に男はだまされるんだから。上品な感じするでしょ?ほんとはね、パイズリとフェラで男を落とすのが得意な女なんだからねー」
何を言い出すんだこの人は。三上さんが怒るんじゃないかと思って怖々彼女を見ると、優しそうな笑みを湛えているだけです。そして、
「上手よ、私。フェラなら負けない。おちんちん大好きだもん。」
(あ、う、ええっ!!!)
こんな上品な奥様が「おちんちん大好き」だなんて。びっくりして三上さんを見つめていると、僕の太股に手を乗せてきました。
「おっきくなると、どの位?おちんちんのサイズ」
「ええっ!」
「このくらい?」
三上さんは僕の指を何本か握ってきました。
「嘘付いちゃ駄目よ。後で見ちゃうんだから、おっきくなったの」
表情を変えず、気品溢れる笑顔のまま尋ねてくる三上さん。どうしたらいいんだ、俺は。
「今、確かめちゃってもいい?」
クスッと小さく笑い、三上さんは僕の股間を握ってきました。僕を見つめたまま。
(やばい、やばいよっ、なんなのこれ!)
スーツの股間に置かれた三上さんの手が、ゆっくりと動き始めます。体温が高いのか、三上さんの手の温もりが股間に強く伝わってきます。
「圭子っ!」
股間に当てた手の甲を、別の手がピシャリと叩きました。びっくりして後ろを向くと、佐伯さんがいました。
「圭子、そういうのは後でにしなさいっ!この子、みんなに挨拶しなきゃいけないんだから!」
手を叩かれた三上さんは、ペロッと舌を出しつつも悪びれた風もなく楽しそうに笑っています。
「みなさーん!聞いてっ!今、新人君が挨拶に回ってるけど、名刺渡して自己紹介するだけにしてね。後藤さんと吉見さんと圭子みたいにからかってたらいくら時間あっても足らないから。」
はーいと子供のような素直な返事を返す奥様達。エロい部分と素直な部分のギャップとノリに、まだ付いていけてません。
「彼と遊びたい人は、二次会になってからちょっかい出すようにして!いいですか!」
また、「はーい」と明るい返事が返っては来るものの、あちこちから色々と卑猥な台詞が飛び出してきます。
(これがセクハラされる女の人の気持ちなのか)
いくら美人揃いとはいえ、最初の3人にハードなお仕置きをされてはたまりません。しかも飲み会はまだ始まったばかり。先が思いやられる。
注)実際の会話は訛り混じりですが、うまく再現出来ないので標準語にしてます。
佐伯さんがストップを掛けてくれたせいか、その後の挨拶回りでは、ボチボチからかわれるものの三上さんや吉見さんから受けたようなセクハラはなく、普通に自己紹介が出来ました。
(しかし、お腹減ったなあ)
これだけの人数に挨拶して回ると、ビールは飲めるもののテーブルの上に置かれた食べ物にはまったく箸を付けられません。食べ物が美味しい居酒屋だと聞いていたので、お昼ご飯も軽めにしてきたのが災いしました。
挨拶回りの一番最後、佐久間さんという30過ぎ位の女性に自己紹介を終えた瞬間、思わず
「はぁー、お腹減って死にそう」
溜め息混じりにつぶやいてしまいました。すると佐久間さんが急にハッとした表情になり、
「そうよね、全然おつまみ食べてないものね」
気遣いながら、自分の目の前にあるお皿に刺身、唐揚げ、サラダを取り寄せ始めました。佐久間さん、このメンバーの中ではかなり色白、美白な人妻さんといった感じです。自己紹介した時も、他の女性とは違い下ネタで僕をからかうこともなく、「昼間は別のお仕事してるんですよね?」「いつこちらに来たんですか?」とありきたりな会話しかしませんでした。どうも、エロ女性陣とは毛色が違う気がします。
「はい、どうぞ。少しここでゆっくり食べれば?」
にっこり笑いながら、お皿を僕に差し出しました。もう、遠慮なくガツガツと。高級な店ではないですが、刺身がうまい!揚げ物も安いチェーンの居酒屋と違って、油臭くなく肉も上等。ご飯が欲しくなります。
「美味しそうに食べるのねえ」
ボソッと佐久間さんがつぶやきました。横に佐久間さんがいることを忘れ、夢中になって食べていたのでちょっとびっくり。
「いやあ、だってここの食べ物凄く美味しいですよー。」
「そうねぇ、ここ、美味しいわよね。でも、そんなに美味しそうに食べてくれたら、お店の人も喜ぶわ」
そうつぶやくと、少し寂しそうな表情になり、佐久間さんも自分の皿に乗ったつまみに箸を付け始めました。
「私も料理、したいなあ」
視線を下に落としたまま、さらにつぶやきます。
「料理、ですか?おうちですればいいんじゃないですか?」
「でも、食べてくれる人いないし」
「あの、佐久間さんは、結婚されてるんですよね?」
「うん……」
ここまで言われると気になります。結婚してるんだから、家で料理を作り旦那さんや子供に食べさせればいいじゃないかと思いますし。僕の疑問に気付いたのか、佐久間さんが口を開きました。
結婚はしてるけど旦那さんは毎日帰りが遅く、夕食も外で済ませて帰ってくると。子供もいないし作っても無駄になってしまうので今は簡単な物しか作らないそうです。佐久間さん、結婚前は料理教室の講師をする程料理好きで、料理を作れず、作っても食べてくれる人がいないことが非常にストレスになっているとのこと。
「それにね、うちの主人、味音痴なの。」
「味音痴?」
「なに作っても反応ないし、素材を変えても味付けを変えてもなーんの反応もないの。子供みたいな物ばっかり好きだから作り甲斐がないのよ」
はあ、そんな人もいるんだなあと思いました。食べる事が好きな僕にとっては、もったいなさ過ぎる話しです。
「もったいないですね、それ。じゃあ僕にお弁当でも作って下さいよ!」
お酒も入っていて気が大きくなっていたせいか、こんなことを軽く言ってしまいました。するとそれまで沈んだ表情をしていた佐久間さんが、急に顔を上げ、目をキラキラさせながら
「ほんと?作ったら食べてくれる?」
心底嬉しそうな表情で反応するんです。
「ええっ、いや……でも、悪いし」
まさか本気で答えてくれるとは思わなかったのでかなりたじろぎます。
「いいのいいの、気にしないで。」
「いやぁ、いいですよ、昼間仕事だからお弁当受け取れないし」
「あ、そっかあ」
またさっきと同じように沈んだ表情にさせてしまいました。僕が悪い訳じゃないとは言え、ここまで落胆されると気がひけます。
「じゃあ、今度遊び行くから何か食べさせて下さいよ。でもおうちにお邪魔は出来ないかぁ」
すると、まーたパッと表情を明るくさせ、
「そうそう、そうしよう!食べに来てくれてもいいし、作りに行ってあげてもいいから!」
そうだそうだと勝手に納得する佐久間さん。何が好き?彼女とかに怒られる作りに行ったら?など、どんどん話しを進めていきます。まあ、ここまで喜んでもらえるなら好意に甘えようと。それに僕は美味しい物食べられる訳だし。
具体的にいつがいい?とまで積極的に聞いてくるので、空いてる日を伝えると本当に嬉しそうに「じゃあ約束ね」とウキウキしています。とりあえず、僕が佐久間さんの家にお邪魔することになりました。一応、男一人で行くと旦那さんに怒られたりするんじゃと気になってそう伝えたのですが、「そんなこといいの。いつも家にいないし」とまったく意に介するそぶりもありません。
(大丈夫なんかな、ホントに)
非常に不安でしたが、とりあえず遊びに行く日の約束をしました。
「みなさーん、そろそろここはお開きにしますので会費集めますよ!」
佐伯さんの声が聞こえてきました。今回、僕は会費無しの代わりに二次会のお付き合いも決定済み。そこで色々とハプニングがありありなのですが。
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- 2008-03-29 (土) 17:23
- 人妻地獄


